恐るべき「アフタードロップ」への対処法
救急医療や救助の現場では、冷たい水から上がった後も深部体温が下がり続けることがわかっています。
水から出てから約30〜45分間、体温は下がり続け、その後、通常のレベルに再び上昇し始めます。これは「アフタードロップ」効果として知られています。
アウトドア雑誌『Outdoor Swimmer』の私たちの友人は、水から上がった後のアフタードロップ(体温低下)の対処法について、アドバイスを書いてくれている、ちょっとした記事を書いてくれています…
「アフタードロップ」とはいったい何か?
オープンウォータースイマーに囲まれて過ごしたことのある人なら、「アフタードロップ」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。冷たい水で泳いだことがある人なら、それを経験したことがあるかもしれません。初心者のために説明すると、アフタードロップとは、水から上がった後の深部体温の低下を指します。
冷たい水で泳ぐと、身体は皮膚や手足への血流を減らすことで、重要な臓器を巧みに保護しようとします。こうして皮膚や手足が冷える一方で、体の芯は温かく保たれます。このプロセスは末梢血管収縮として知られています。
水から出た直後に、末梢血管収縮が終了します。手足や皮膚から出た冷たい血液が芯に戻り、温かい血液と混ざり合うため、暖かい服を着て暖かい環境に移動しても、深部体温が下がってしまうのです。そのため、水から出てから10分~15分後にしか震えが起きないことが多いのです。
それは良い理論ですが、水泳を終えた後、かなり長い間、深部体温が下がり続けるというのは本当なのでしょうか?
数年前にポーツマス大学の極限環境研究所での研究に参加したときに、そそれを確かめる機会を得ました。実験では、冷たい水(16度と18度)で2時間泳ぎ、その間、研究者は私の深部体温を(とりわけ)監視しました。
18度で2時間泳いだ後、私の体温は約半度下がりました。タオルで身体を拭き、服を着て、コートと帽子をかぶり、熱いお茶を飲みました。その後、体温が36度を少し超えるまで下がってから安定し、その後再び上昇し始めるのを確認しました。16度でも同じことが起こりましたが、効果はより大きく、最低体温は低く、安定するまでに時間がかかりました。アフタードロップは実際に起こります。平均体温が上昇している間は、体の芯が冷えています。
では、どうすれば良いのか?
- 素早く着替え、暖かい服に着替えましょう。泳いだ直後は、冷えた血液がまだ体の芯に戻っていないので、気分が良くなるかもしれません。戻る前に暖かく包むのが一番です。震えているときは服を着るのが大変です。
- 熱いシャワーを浴びると、冷えた血液が体の芯に戻る速度が上がり、体温低下が早く深くなるのでやめましょう。冷水で泳ぐ人は、熱いシャワーで失神することが知られています。シャワーを浴びる前に、再び温まるまで待ちます。
- 深部体温が回復するまでは、運転や自転車に乗らないでください。運転と震えは良い組み合わせではありません。深部体温が下がりすぎて低体温になると、認知能力にも影響が出ます。繰り返しますが、運転には向いていません。
- 温かいものを飲んで何かを食べてください。コーヒーと相性のいいPF30 Energy Chewsいいかもしれません!震えは、エネルギーを大量に消費する身体機能です。エネルギーを補給する必要があります。
- 仲間のスイマーから目を離さないでください。水から上がった時は元気そうに見えた人が、10分後には大変なことになっていて、あなたの助けを必要としているかもしれません。
- 泳いだ後も寒さが続くので、体が冷えすぎる前に水から上がり、身体に安全の余裕を与えましょう。
サイモン・グリフィス
アウトドアスイマーの創設者兼発行者
サイモン・グリフィスは、アウトドアスイミングを専門とする世界で唯一の独立系雑誌「アウトドア・スイマー」誌の創設者兼発行人。
フリーランスのライターとして働いており、以前はH2Open Magazineの編集長兼創設者であったため、執筆の豊富な経験を持つ。
レディング大学で物理学の学士号、クランフィールド大学で水工学の修士号、ロンドンビジネススクールで経営管理のMBAを取得。
※本記事は英語の記事を翻訳したものです。原文を読む
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