パフォーマンス

スポーツアスリートが2024年パリオリンピックから学べる5つのこと

オリンピックでは、常に素晴らしいパフォーマンスや物語が生まれ、伝説が作られ、名声が確立されてきました。しかし、地元のタトゥーアーティストのところに行って、5つの輪を肌に永遠に刻んでもらうことは決してないかもしれませんが、それでもパリで起こったことから学ぶことはたくさんありそうです。

私が今回のオリンピックで気付いた5つのハイライトは次のとおりです。

1. 終わるまでは終わらない

英国の MTB ライダー、トム・ピドコックは、フィールドでの戦いに慣れています。ロードレースと MTB レースのスケジュールを常に行き来している彼は、MTBのスターティンググリッドでは不利なポジションに置かれることがよくありました。また、長い間レースを続けていると、トライアスロンや集団レースで機械的なトラブルに遭遇することもあります。

そのためパリでは、一見、正しい場所で、正しいタイミングで、正しいフォームでレースに臨んでいたピドコックでしたが、状況は「良」から「悪」に変わり、4周目に不本意なパンクに見舞われ、先頭グループから9位に後退しました。

しかし、まったくパニックに陥ることなく、自分の能力を信じていた彼は挽回を図り、最終ラップでトップのビクトル・コレツキーの後輪に迫るまで、なんとかフィールドを駆け抜けました。残り数百メートルという最後のチャンスで、木々の間を大胆かつアグレッシブにインサイドラインを取り、ハンドルを前に出しました。両ライダーがクラッシュして何も得られないという賭けに出るよりも、銀メダルで満足することもできたはず。

教訓:機械的なトラブルや破損はレースには付き物なので、それが自分の身に降りかかっても最後まであきらめないでください。例えイレギュラーが起きても、ゴールを見られないとか、成功を味わえないという意味ではないということです。

2. 柔軟に…

トライアスロンの各競技の条件については、これまでも議論が交わされてきました。セーヌ川での水泳に関しては、水質の変化、大腸菌感染の潜在的リスクとの闘い、トライアスロンがデュアスロンになるリスクなど、多くの関係者がこの劣悪な状況を認識していました。

その後、レース日程が延期されましたが、4年間の準備期間の後に行われるテーパリングの繊細な性質を考えると、アアスリートの準備について知っている人なら誰でも不条理に思えました。

舞台裏では、この延期は選手たちが絶えずエネルギー補給をリセットしたり調整したりする必要があったため、競技前と競技中の栄養補給と水分補給の準備にも影響を及ぼしたでしょう。

さらに、男子と女子の競技では、同じコースでわずか数時間しか離れていないにもかかわらず、これ以上ないほどに異なる天候となりました。女子の競技は、前夜の雨で涼しく路面が濡れた状態で始まりました。一方、男子の競技は乾燥していて気温が瞬く間に上昇しました。

選手たちが自分たちの直面するであろう状況を認識し、競技に臨むにあたって各自の水分補給と栄養補給の戦略に柔軟に対応することが重要でした。

教訓:同じスポーツを、ほぼ同じ時期に、同じようなアスリートと対戦したとしても、これまでと同じ対応策が展開できるわけではありません。

3. 最初はうまくいかなくても…

アメリカのトライアスロン選手テイラー・ニブが国内の自転車競技選手権のタイムトライアルで優勝し、パリオリンピックの自転車競技チームに選ばれた際、いくつかの論争が巻き起こりました(そして毎度のようにSNSでの批判が起こりました)。

トライアスロン選手が、おそらくは別のスポーツ種目として見なされるべき競技で競争力を発揮できるかどうかについては、多数の意見に分かれます。その結果は、あまり良いものではありませんでした。

滑りやすいコンディション(しかもパリというよりルーベに近いような路面)の中、ニブは転倒……また転倒……また転倒……。これは、自転車に強くエアロバーに精通しているだけでは、エリートサイクリストにはなれないという見方を裏付けているようでした。

その後、トライアスロン競技での彼女の努力もあまり報われず、ほとんど注目されることなく19位でフィニッシュしました。

しかしその数日後、彼女はトライアスロンのリレー競技で米国チームのアンカーを務め、素晴らしいパフォーマンスでチームを銀メダルに導きました。他の多くの選手は、棄権したり、帰国したり、批評に耳を傾けたりしたかもしれません。しかし、最終的に彼女は、ほとんどの同世代の選手が目にすることのできない銀メダルを獲得することができたのです。

教訓:あなたが1、2回レースの成績が悪かったからといって、シーズンが最悪になったり、終わったりするわけではありません。すべてを好転させるには、1回でも良い成績を残すだけで十分です。

4. 技術にもかかわらずか、技術のためか?

さて、私は陸上競技について少し問題を感じています。他の多くのスポーツと異なり、陸上競技では実力への依存度が高すぎて、小数が重要になる競技では合法的な技術を活用するための投資が十分ではない、というのが私の積年の考えです。

パリでの男子100m決勝は、その後史上最速記録と謳われました。アメリカのノア・ライルズが9.79秒で優勝しましたが、ゴールラインの写真を見る限り、その記録を出すには小数点以下3桁までが必要でした。

しかし、これらの選手の終端速度は時速約28マイルであり、私たちはサイクリングから、このような速度では空気力学が非常に重要になることが分かっています。その時点で、キシェーン・トンプソンが 0.001秒差で負けたのは、部分的にベストが緩んでいたからではないか、と考えざるを得ません。

評論家は、ウサイン・ボルトが数年前に同様の服装で世界記録を樹立したときも全く問題なかったと主張するかもしれませんが、私はよく、どんな良い結果も特定の要因の影響ではなく、特定の要因にかかわらずあらゆる要因の総合的な結果によって得られるものだと思っています。

最近の科学研究でも、走り幅跳び競技に当てはめた場合、このような懸念に光を当てています。選手の服装と髪型の両方が、選手の総合的な空気抵抗を最大25%変えることが示されています。現段階で、私は、ゆったりとした服を着たり、理美容院に行かないようにするには、かなり説得力のあるデータが必要だと主張します。

教訓:結局のところ、テレビのヒーロー、ジャック・リーチャーが正論を言ったように、「細部が重要」なのです。

5. 技術が全てではない

最後の話はスポーツ技術者からすると少し奇妙に聞こえるかもしれませんが、競技に使う器具にこだわり過ぎるのはよくあることです。私たちは最新技術の不足または技術導入の資金不足のせいで、自分のパフォーマンスがプラスにもマイナスにも影響を受けると考える傾向があります。

これには物理学に基づくものもありますが、テクノフォビアやテクノフィリアなどの心理的影響に基づくものもあります。ここで❝無課金おじさん❞として一躍有名になったトルコのピストル射撃選手、ユスフ・ディケチの登場です。

韓国のキム・イェジのような選手が、映画「ユニバーサル・ソルジャー」のジャン=クロード・ヴァン・ダムに似た特殊なメガネをかけ、2024年オリンピックでファッションアイコンのような存在となっていますが、ディケチ選手はカジュアルなチームウェアに、一見普通のメガネをかけて颯爽と登場しました。そして、さりげなくポケットに手を入れてショットを放ち…銀メダルを獲得しました。

教訓:それがあなたのためになるなら、それはあなたのためになるということです。(精神的にも技術的にも)

参考文献

持久系アスリートが2024年パリオリンピックから学べる5つのこと

ブライス・ダイアー博士

マスターズアスリート、ボーンマス大学スポーツテクノロジー准教授

※本記事は英語の記事を翻訳したものです。原文を読む

Precision Fuel & Hydration とその従業員および代表者は医療専門家ではなく、いかなる種類の医師免許や資格も保有しておらず、医療行為も行っていません。 Precision Fuel & Hydration が提供する情報およびアドバイスは、医学的なアドバイスではありません。 Precision Fuel & Hydration が提供するアドバイスや情報に関して医学的な質問がある場合は、医師または他の医療専門家に相談する必要があります。当記事の内容については公平かつ正確を期していますが、利用の結果生じたトラブルに関する責任は負いかねますのでご了承ください。

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