インタビュー

クマ、水ぶくれ、電解質:Yukon 1000を支えるエネルギー補給

Yukon 1000は、カナダから北極圏までの過酷な1,000マイル(約1,600km)を漕ぐ世界最長のパドルレースです。参加者は10日間で完走しなければならず、完全な自給自足が求められます。

この壮大な挑戦に備えるため、チーム・シャックのクレイグ・ソーヤーとスキップ・イネスは2020年にPRECISION Fuel & Hydration(プレシジョン)本社を訪れ、発汗テスト(スウェットテスト)を受けました。その結果、クレイグは特に塩分が多い汗をかくことが判明し、汗1Lあたり1,300mg以上のナトリウムを失っているのに対し、スキップは1Lあたり778mgのナトリウムを失っていることがわかりました。

パンデミックにより2021年のレースが延期され、選手たちの計画は棚上げとなり、クレイグは2022年のレースの数日前にCOVID-19の検査で陽性反応が出たため、レースの出場断念を余儀なくされました。

2023年、遂にスタートラインに立った彼ら。待った甲斐があったことが証明されました…

クレイグ、こんにちは!まず、どうだった???

私たちは8日と13時間3分でレースを終え、スタンドアップパドルボード(SUP)チームとして初の優勝を果たしました。5日間の中間地点の制限時間より1日半早く通過するなど、非常に良いタイムを記録しました。  

素晴らしい、おめでとうございます!Yukon 1000は「世界で最も過酷なレース」と称されています(現地のクマに遭遇するリスクもあります)。では、このレースの自給自足度はどの程度だったのですか?

このレースは完全にサポートなしです。野営し、食料はすべて携行し、水もその都度確保します。双方向通信は禁止。主催者に位置情報を送信するトラッカーと、緊急時用に不正開封防止バッグに入った衛星電話を持参します(使用すると失格)のみ。まさに、自分自身で行動することになります! 

1日最大18時間のパドリングが可能ですが、午後10時から深夜0時の間に6時間の強制休憩が義務付けられています(安全な停泊場所を見つけてキャンプする時間を確保するため)。 

初日はクマの足跡探しに長い時間を費やしました。4日目あたりから疲れがピークに達し、足跡をざっと探す程度にして、すぐに就寝しました(クマよけスプレーは常に手元に!)。

6時間の休息時間は主に以下の作業に充てられました:

  • キャンプ地の適性確認クマやヘラジカ新鮮な足跡・糞・単独ではない可能性を示す痕跡がないかを探す…
  • ボードの固定
  • クマが興味を持ちそうな匂いのするクマ用樽や物はすべて風下100mに移動させる
  • テントを張る(1人用テント2つ)
  • 水ぶくれなどの手当て
  • 翌日の浄水の準備(基本的には10Lの折りたたみ式タンクに水を入れ、浄水剤の小袋を混ぜる)
  • 約3時間の睡眠
  • 起床、キャンプ撤収、ボードの積み込み
  • 10Lの折りたたみ式タンクから水を様々な個人用貯水タンクやボトルに移し替える
  • PH電解質パックを数本のボトルに混ぜる
  • 水を沸かしてフリーズドライ食品を調理、それをHydraflaskの食品容器に入れて、後日の保温用として保管
  • キャンプ地を出発

状況もかなり過酷だったそうですね?

レースの大半は暑くて晴れていました。太陽が沈むことがなかったため夜がなく、日中はどんどん暑くなっていきました。気温は平均30℃(86°F)前後で、数日はさらに暑くなりました。

寒くなったのは(10℃/50°F未満)キャンプにいる深夜2時から4時頃だけでした。それに加え、最後の数日間は大きな嵐が何度かあったため、気温が急激に下がり、1時間ほど激しい雨に打たれることもありました。

川が冷たいことにも気を付けなければなりませんでした。私は3回も川に落ちました。2回は暖かい日だったのですぐに乾いて、むしろ爽快だったんですが、1回は曇りで風が強い日に川に転落したので、急いで服を脱いで乾いた服に着替えなければなりませんでした。

発汗テスト(スウェットテスト)から学んだことを水分補給戦略にどう反映させたのですか?

2020年2月に実施したシートテスト以降、スキップはPH1000を、汗をかきやすい私はPH1500を使用しています。レースでは、水分補給のほとんどをLifestraw Goで賄うという課題に直面しました。Lifestraw Goは、基本的に川から水を汲み、浄化フィルターを通して飲む1Lのボトルです。 

毎晩、川の水を8Lの容器に満たし、浄化パウダーを加えて一晩置いておきます。翌朝、浄化した水をモスリン(実はPH調整可能なヘッドウェアです!)に注いでろ過し、残留物をすべて取り除くと約6Lのきれいな水ができました。 

次に、 PF&H(プレシジョン)1Lボトルを2本ずつ満たし、各ボトルにPHタブレットを2錠ずつ追加しました。

さらに、PH1500(タブレット)を1錠入れた500mlボトルも用意し、起床後すぐに飲みました。その後は1日を通して2LのPH電解質を少しずつ飲み続けました。 

最後には私の黒いレギンスは塩で白くなってしまいましたが、幸いなことに痙攣に悩まされることはありませんでした。

それはよかった!それで、そんなに消費したカロリーを補うために何を食べたんですか?

消費カロリーを摂取で補うのは不可能だと分かっていたから、全てを携行する必要がありました。つまり軽量で、10日間保存可能で、安全に保管できる食料を見つける必要があったんです。  

食事はフリーズドライ食品が中心で、朝食と夕食で約800kcalでした。朝食は午前中に軽く食べ、夕食は昼食後に食べていました。  

ナッツとドライフルーツでトレイルミックスを作り、それを口の大きい1Lの飲料ボトルに入れて「飲む」ようにしました。こうすることで、キャンプ中に野生動物を引き寄せる恐れのある衣類やボードに食べ物が付くリスクを減らすことができました。  

毎日出発前にPF30ジェルを摂取し、日中に2~3個追加しました(さらに私はPF30カフェインジェルも使用)。また、砂糖たっぷりのお菓子、ピーナッツバター、そして明らかに過剰な量のビーフジャーキーも携行していました!

途中で味覚疲労が忍び寄ってきました。色々な味の食料袋を毎日作ろうとしましたが、どれも同じような味になってしまいました。二人とも、ビーフジャーキーは実は好きではないことに気づきました。疲れていると硬くて噛みにくいのです。

私たちの食料袋には約3,000cal分が入っていましたが、一日を終えるまでに空にするよう最善を尽くしました。

8日間も二人きりで過ごすのは長い。このチャレンジにおいて、チームワークはどのように機能しましたか?

これは本当にうまくいきました。ちょっとした不満が生じたら、すぐに話し合い、問題を放置しないという約束をしていました。なので、私たちがスムーズに仕事を進めている時に、私がスキップに問題を提起したり、逆にスキップが私に問題を提起したりして、その場で話し合って対処しました。こうすることで、常に二人の間に風通しのよい関係が築かれていました。これはとても重要なことでした。疲労や睡眠不足が潜むと、問題が大きくなりすぎる可能性があるからです。

回復状況はどうですか?

一時的な神経損傷により、二人とも足と手の感覚をほぼ失ってしまいました。火の上を歩いていても、全く気づかないほどでした!

4週間後には、針で刺されるような感覚に変わりました。ほとんどの指の感覚が戻り、親指は少し痺れている程度です。それ以外は特に身体的な問題はありません。人間の体の回復力には驚かされます!

レースから1週間後にはジムに戻り、アクティブリカバリーを行いました。次はオランダの11都市をノンストップで走る220kmのレースに出場します。体調も万全で、準備も万端です。

素晴らしい!お二人ともお疲れ様でした!読者の皆様に、クレイグがガーミンで記録したYukon 1000のハイレベルな統計データをいくつかご紹介します。

Yukon 1000
移動距離 1,000マイル
合計時間 8日13時間3分
合計パドルストローク数 285,660
総カロリー消費量 48,472
減量 5.8
クリス・ナイト

クリス・ナイト

マーケティングマネージャー

※本記事は英語の記事を翻訳したものです。原文を読む

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