栄養

ラマダン中のエネルギー補給と水分補給の方法

普段の日常生活で十分なエネルギー補給をするのは至難の業です。ラマダン期間中のアスリートには、さらに厳しい挑戦が待ち受けており、彼らの競技パフォーマンスを支えるためには、より綿密な戦略が必要となります…

ラマダンとは?

イスラム教の一部であるラマダンは、断食、祈り、内省、そして共同生活を送る1ヶ月間の期間です。この期間中は、1日2食のみを摂ります。1食は夜明け前(「スフール」と呼ばれる)で、もう1食は日没後(「イフタール」と呼ばれる)です。日中は水さえも禁じられています。

断食はイスラム暦の9番目の月に行われるため、毎年日付が異なり、その特定の時期の日照時間に応じて断食時間が長くなったり短くなったりする場合があります。

ラマダン期間を過ごすアスリートは、宗教的な慣習から逸脱することなくトレーニングとパフォーマンス目標の達成を確実にするために、ラマダン期間に入る前に計画を立てることが重要です。断食期間ではない時と比べて、普段と同じようなパフォーマンス(あるいはパフォーマンスの向上)を期待するのは現実的ではないかもしれませんが、この期間の影響を最小限に抑えるための対策はいくつかあります。

断食はパフォーマンスにどのような影響を与えるのか?

持久力トレーニングにおける断食のメリットを主張する人もいますが、研究はこの見解を全面的に支持しているわけではありません。さらに、ラマダンは丸々1ヶ月続くため、その期間中に摂取量の多い日や少ない日、断食日や非断食日を組み込めるわけではありません。

ラマダン期間中のアスリートのパフォーマンスに関する文献は多岐にわたり、トレーニングの種類、スケジュール、競技、個人、天候といった要因に大きく左右されます。例えば、ある男性アスリートグループは、筋力トレーニングと平坦なクロスカントリーランニングを1日2回行い、その後20mのシャトルランを行いました。断食群と非断食群の間に有意差は認められませんでした。

一方、16歳のアスリート734名を対象とした調査では、29%がラマダン期間中にパフォーマンスが低下したと回答しました。さらに、この研究では、スプリント中の疲労の増加、長距離走のタイム低下、筋力の低下も明らかになりました。

また、この断食期間はトレーニングやレース中にどれだけ適切にエネルギーや水分を補給できるか、セッション後の回復の質にも影響を与える可能性が高いのです…

1. エネルギー補給

通常、パフォーマンスが低下し始めるまでに、約90~120分間グリコーゲンを蓄えておくことができます。持久系アスリートの場合、この時間あるいはそれ以上のセッションが断食月の間に少なくとも何回か行われる可能性があります。

トレーニング中であろうとリラックス中であろうと、長時間にわたってエネルギー補給をせずにいると、筋肉や肝臓に蓄えられたグリコーゲン(いわゆる「燃料タンク」)が枯渇するリスクがあります。血糖値(血液中のエネルギー)の低下は、気分にも影響を与え、過度の運動負荷を感じさせ、恐ろしい「ボンク(筋肉がパンパンになる)」状態につながる可能性があります。

そのため、ラマダン期間中にアスリートとして直面する最大のハードルは、セッション中やセッション前後に普段通りの炭水化物を摂取せずに、いかにトレーニングを継続させるかということです。PRECISION Fuel & Hydration(プレシジョン)を少しでもご存知の方なら、運動中に快適に炭水化物を摂取するための腸トレーニングについてよく話していることをご存知でしょう。

腸トレーニングは、実際に日が暮れて食事ができる時間帯にこそ便利です。普段から炭水化物を摂取していれば、消化器系の不快感を引き起こすことなく、炭水化物を多く含む食事を消化・吸収しやすくなります。

2. 水分補給

日中の水分摂取が禁止されていることは周知の事実ですが、ラマダンの時期を考慮することが重要です。ラマダンが夏の時期であれば、水分補給状態への影響はより顕著になる可能性があります。

日中の標準的な水分喪失量(運動以外)は、体重の約1%を超えることはほとんどありません。しかし、持久系アスリートのトレーニングを考慮すると、ラマダン期間中はパフォーマンスを低下させるレベルの脱水症状(体重の2~4%の減少)に陥る可能性があります。日没後に失われた水分を補給することは可能ですが、水を飲みすぎると水分過多になる危険性があります。

したがって、水分を摂取できる場合は汗で失われたナトリウムの適切な量を補給することが重要です。

3. 回復

適切な炭水化物、水分、ナトリウムの摂取は、トレーニングやレース中のパフォーマンスだけでなく、回復にも重要です。

睡眠は、組織の修復、免疫システムの機能、エネルギーバランス、ホルモン調節など、身体の重要なプロセスに必要となるため、あらゆるアスリートにとって優先事項です。

日没後に水分補給するのを覚えていますか?寝る直前にこれだけの水分を摂取すると、利尿作用も働き、目が覚めてトイレに頻繁に行きたくなり、睡眠と回復にさらに悪影響を与える可能性があります。

この研究では、ラマダン期間中のアスリートの睡眠は171分遅れ、平均126分減少したと報告されている一方、別の研究では、サイクリストは睡眠障害(覚醒と浅い睡眠)をより多く経験していることが示されています。

2回の食事では、通常の総摂取カロリーを補えない可能性が高く、体組成や体重に影響を与える可能性があります。カロリー不足がエネルギーレベル、睡眠パターン、活動量に与える影響以外にも、スポーツや目標によっては、体組成の変化がパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。

全体的に、研究におけるラマダンのアスリートへの影響は比較的小さいですが、それでも考慮する価値があり、計画を立てることの重要性を強調しています。

ラマダン中のエネルギー補給と水分補給の方法

タイミング

  • 食事の時間に合わせてトレーニングスケジュールを立てましょう。スフール(夜明けの食事)の直後にトレーニングするのが望ましいでしょう。そうすれば、エネルギーを補給する機会が得られるからです。特にラマダンが日照時間の長い時期に当たる場合は、この点に注意してください。
  • コーチがいる場合は、強度、頻度、期間など、トレーニング計画を調整するためにコーチと相談しましょう。特に最初の数週間でトレーニングの弊害を感じた場合は、月の後半に調整しましょう。ラマダンとテーパリングを並行して行うことができれば理想的です。

エネルギー

  • エネルギーの利用を促進するために、通常の総エネルギー摂取量にできるだけ近づけてください。
  • グリコーゲン貯蔵量を最大化するために、補給時間をレース前の炭水化物補給のように扱いましょう。
  • トレーニングの1~4時間前(つまり「スフール」時、トレーニングの1~4時間後)に、体重1kgあたり少なくとも1.5gの炭水化物を摂取しましょう。
  • トレーニングや競技中に断食を中断する場合は、単純な炭水化物とタンパク質を中心に摂取するようにしましょう。
  • 1~2時間以内にトレーニングをする予定がない場合の食事では、胃の内容物の排出を遅らせるために脂肪、タンパク質、食物繊維を取り入れましょう(就寝前の夕食、または休息日の朝食など)。
  • スポーツ栄養製品を取り入れて、1日の通常の炭水化物摂取量を達成しましょう。

水分補給

回復

  • 睡眠習慣を維持しましょう。暗く静かで涼しい環境を作り、就寝の少なくとも30分前には画面をオフにし、就寝時間と起床時間を一定に保つことで、質の高い睡眠を促進します。
  • サウナ、ノンアクティブスイミング、ストレッチ、クールダウン、ジェットバスなどの回復方法を取り入れましょう。

これまでに紹介した戦略はすべて、共通のテーマ、つまり「計画性」が必要です。食事の準備、スケジュールの調整、発汗量の測定など、戦略的に行動することがラマダン期間中の運動目標達成をサポートする最良の方法です。

参考文献

レクシー・ケルソン

レクシー・ケルソン

マーケティングマネージャー&栄養士

※本記事は英語の記事を翻訳したものです。原文を読む

Precision Fuel & Hydration とその従業員および代表者は医療専門家ではなく、いかなる種類の医師免許や資格も保有しておらず、医療行為も行っていません。 Precision Fuel & Hydration が提供する情報およびアドバイスは、医学的なアドバイスではありません。 Precision Fuel & Hydration が提供するアドバイスや情報に関して医学的な質問がある場合は、医師または他の医療専門家に相談する必要があります。当記事の内容については公平かつ正確を期していますが、利用の結果生じたトラブルに関する責任は負いかねますのでご了承ください。

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