パート 1:怪我による長期的な活動休止から得た4つの教訓
アキレス腱の手術を受ける前日、私は涙が止まりませんでした。とても怖かったんです。
手術のリスクを恐れていたわけではありません。長期的な結果について恐れていたわけでもありません。私が恐れていたのは、未知のこと、自分で状況をコントロールできないことでした。私はこの状況を受け入れ、肯定する必要性があることは認識していましたが、できる限り人生において多くのことをコントロールすることに慣れている私としては、(多くの持久系アスリートのように)未知のことに苦戦を強いられていました。
手術後、最初の1ヶ月のリハビリで、自分自身について多くのことを経験して学び、私が得た貴重な教訓をご紹介します。
助けを受け入れる
私たちアスリートのほとんどは、自分で物事を成し遂げることに慣れているため、このことに苦悩することがあります。私が18歳の時、イギリスからアメリカに渡って世界を横断していていました。2つの大きなスーツケースとバックパックを持ってエスカレーターに乗ろうとし、複数の人からの助けを断ったことを覚えています。私は助けを受け入れることを弱さの表れと見なしていました。それは、自分ひとりではできないことがあるということを認めなければならないということだったからです。
今回の怪我は、特に身体が回復に集中する必要がある時、さらに怪我をしたり身体にストレスをかけたりするリスクを冒すよりも、助けを借りることの大切さを私に教えてくれました。35歳の私にとって、母にシャワーを浴びるのを手伝ってもらうのは内心、気分の良いものではありませんでした。しかしながら母に手伝ってもらえなければ、さらに怪我が悪化するリスクがあることも理解していました。
手術から2日後、親切な男性が私を空港のトイレまで車椅子で連れて行ってくれました。回復に全力を尽くしていた私は、不思議と身体への負担が軽減されるのを感じました。
助けを受け入れるには訓練が必要ですが、それはあなたのためになるだけでなく、助けを申し出た人も良い気分になります。サポートを申し出たのは、あなたが❝できない❞と思ったからではなく、助けたいと思ったからです。周りの人からの助けを受け入れましょう。そうすれば、あなたも彼らの一日もお互いに素晴らしいものにできるかもしれません。
画像出典:ティナ・ミュア©
痛みを治療する
私はよく友人に、自分は「薬を飲むタイプ」ではないと言います。本当に必要な場合を除いて、私は普段から薬を服用しないようにしています。しかし、手術の数日前にある親友が、痛みは治癒を妨げるので、処方された鎮痛剤を頑なに飲まずにいると怪我が治るのに時間がかかる可能性があることを教えてくれました。
かつて私は(スタートラインに立つ他のすべての一流アスリートと同様に)、自分が最もタフなランナーであり、誰よりも痛みを乗り越えられると思っていました。そのお陰で大きな目標を達成し、国を代表して世界の舞台で活躍することができましたが、今となっては、それが役に立つどころか、むしろ妨げになっています。
痛みを薬で抑制するということは、あなたが❝弱い❞ということではありません。それは、あなたの身体が治癒するために懸命に働いていることを認識し、それをサポートしたいという気持ちとして捉えることを忘れないでください。
食事と睡眠
私は、手術後の最初の2週間は睡眠と栄養のある食事を優先すると自分に誓いました。身体が回復する最高の機会を与えたかったのと同時に、検査で自分の状態がいかに良好であるかを外科医に印象付けたかったのです。
人生でこんなによく眠れたことはなかったと思います。好きな食べ物を制限したり、本当に食べたくない食べ物を無理やり食べたりはしませんでした。身体の回復のために何が最善なのかを自分に問いかけることだけに集中しました。
2週間が経った時、私は自分の身体にとても驚きましました。2人の子供の出産後よりもさらに驚嘆したことを覚えています。「しっかりした栄養」と「質の良い睡眠」を与えれば、身体はこんなにも回復するものなのかと。
小さな勝利を祝う
もちろん、オンラインで友人や他のアスリートのStravaアクティビティ※やレース後の感想を見ると、「自分もあそこであんなことをしてみたかった」という羨望の念を抱くこともあります。
※Stravaアクティビティとは、SNS機能を組み込んだフィットネスアクティビティを詳細に記録できるWebサービスで、GPSを利用したランニングやサイクリングを記録したり、知り合いとシェアすることができる。
しかし、よくよく見てみると、リハビリ中には祝うべき小さな勝利があり、それが大きな成果に繋がっていることを知りました。1週間の間に松葉杖で足にかけられる体重を20%から30%、さらに40%まで増やしていくうちに、今の自分に何ができていないのか、と体力が衰えていることに目を向けることができました。その一方で、体重を100%支えられるという大きな節目に着実に近づいているということに私は感謝しました。
走っていた方が良かったって?もちろんそうです。でも、治療後に走った時、体重の50%を足にかけたこの❝瞬間❞が大きな成果であったこと、走れることの喜びを思い出すことでしょう。ゴール後に語れるストーリーを想像してみてください。すべてが常に順調に進むよりも、はるかに大きな意味を持つのではないでしょうか。
結局のところ、私にはまだ長い道のりがあります。ハグルンド変形の除去とアキレス腱の手術から4週間が経ちました。外科医は、完全に元通りになるまでには1年かかるだろうと言いましたが、今のところそれでいいと思っています。
自分自身や治療法に疑問を抱くような本当に辛い日がいくつかあることはわかっていますが、これは私の物語、人生の旅の一部であることも理解しています。私は今、一日一日を大切に過ごし、いつかレースで快調に走れるその日を待ちわびています。
参考文献
ティナ・ミュア
ティナ・ミューアは、Running for Real の創設者兼 CEO であり、受賞歴のある同名のポッドキャストのホスト、Running Realizedの共同ホスト、2児の母、そして持続可能性の提唱者となった元エリートランナーです。
熱心な環境保護主義者である彼女は、国連や、ニューヨークやシカゴのマラソンを含むランニング業界の多くのレースで持続可能性の取り組みに取り組んできました。
ゾーイ・ロムと共著した彼女の著書「Becoming a Sustainable Runner 」では、ランナーのスポーツに対する情熱と、健康、地域社会、環境に対する関心が融合されています。
無月経について公に語った最初の一流アスリートとして、ティナは RED-S (スポーツにおける相対的エネルギー不足) に苦しむ他の人々の支援者となりました。
※本記事は英語の記事を翻訳したものです。原文を読む
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