栄養

持久系アスリートのための炭水化物摂取のコツ

炭水化物を摂取することは、アスリートにとって最高の楽しみのひとつに違いないですよね? パフォーマンス向上のため、米やパスタをたくさん食べてもいいと言われるシチュエーションが、人生で他にあるでしょうか?さらに嬉しいことに、アスリートが炭水化物を摂取すべきタイミングは、コーチがトレーニングや運動を減らすように指示してくる時期と重なります。

運動量を減らして、食事をたっぷり摂る。これのどこが悪いのでしょうか?実際のところ、大きな大会に自信を持って臨めるような食事メニュー戦略を完璧に立てるには、それなりのコツが必要なようです。

カーボローディングとは?

カーボローディングとは、重要な大会本番前の数日間に、炭水化物を多く含む食品(ジャガイモ、パスタ、米、パンなど)を重点的に摂取して、グリコーゲンを「過剰に補う」ことを指します。グリコーゲンとは、肝臓や筋肉に貯蔵されている炭水化物の形態ことで、レース当日のエネルギー源として重要な役割を果たします。

IRONMAN® やCoast to Coast World Multisport Champsなどの大会直前の数日間、私のお気に入り料理には次のようなものがあります。

  • 朝食にはオートミールまたはピーナッツバターとバナナをトーストにのせて食べるます。
  • 米、ジャガイモ、パスタをベースにした昼食や夕食を食べる。鶏肉や魚などの白身と野菜が中心です。
  • 炭水化物の摂取量をさらに増やすために、おやつにバナナ、ミューズリーバー、シリアル、ハチミツやジャムを塗ったトーストなどを日中に食べます。
  • また、炭水化物レベルのレベルを上げ、電解質の必要量を満たすためにスポーツドリンクを飲みます。
持久系アスリートのための炭水化物摂取のコツ

量より『質』

これらの料理は炭水化物が豊富な一方、脂肪と繊維が少ないので理にかなっています。カーボローディングとは、「より多く」食べることではなく、相対的に炭水化物含有量が多い食品を選び、普段と同じくらいの量を食べることだと気付くのに数年かかりました。

そこで、炭水化物摂取の余地を確保するために脂肪分を減らした食事を取りました。レース前のラストスパートの数日間は繊維質を制限することで、レース当日に胃の不調を起こす可能性を引き下げることで安心にもつながりました。これは苦い経験から学んだ教訓でした…

私は何年も前のCoast to Coastのレース前夜のことを思い出します。夕食に地元のパブに行き、ラムシャンクにニンジンとブロッコリーを添えて注文しました。ボリュームたっぷりの肉料理を堪能し、お腹を満たして就寝しました。

ところが翌日の山岳ランニングステージでは、胃の痛み、膨満感に見舞われ、通常量のエネルギーも消化できなくなってしまいました。コーチと私は、その後に起こったお腹の不調は、レース前の夕食で食べた脂っこくて繊維質の多い料理が原因だとすぐに考えました。

精神的な課題

カーボローディングは、レース当日に向けてトレーニング量が徐々に減っていくにつれ、運動によるエネルギー消費が少なくなっていく時期に行います。これにより、消費されるグリコーゲンが少なくなり、体内のグリコーゲンの飽和状態が維持されますが、興味深い心理ゲームに繋がることもあります。

体重を増やしたい場合、一般的には運動量を減らして同じ量の食べ物を摂取し続ければ、体重は増えます。テーパリングとカーボローディングの段階では、体重計が1~2kg増え始めるのはよくあること(ほぼ確実)だと分かりました。

体重はパワーウェイトレシオが重視されるスポーツ(ランニングやサイクリングなど)のパフォーマンスに影響するため、レースの日が近づくにつれて体重が増えていくことを精神的に受け入れるのはいつも難しいと感じていました。

ある時、IRONMAN®の登録に行き、レース前の公式体重測定を提出したのを覚えています。増加した体重を認めるのは恥ずかしいことでした。しかし、気にしすぎることはありません。私はその後、自分の「体重」がいかに重要かをより深く理解し、認識するようになりました。

よく考えてください。ガソリンが空っぽの状態で車で長距離ドライブに出かけるなんてことは絶対にないでしょうし、レース当日にエネルギーを補給していなければ、肉体的に大きな力を発揮することは期待できません。レース前に体重計に表示された余分な体重は、スタートの合図が鳴った後に役に立つ、自分のタンク内の余分なエネルギーを蓄えていたのです。

レース前のエネルギー補給

レース前の炭水化物摂取に関して言えば、スタートの約15分前に摂取するエナジージェルが「最高のおまけ」でした。通常、この段階ではウォーミングアップを終えており、グリコーゲン貯蔵量がやや低下している可能性があります。炭水化物を30g余分に摂取し、「出発時間」を迎える頃には蓄えたエネルギーが最大限に戻っている(車で言えばガソリン満タン)とわかれば、精神的に元気になります。

15分前というのは、身体をレースに送り出す時に消化に問題がないと感じるには十分な時間のように思えました。もちろん、次の課題はレース中ずっと炭水化物と水分の必要量を満たすことでした。しかし、レース前の数日間に炭水化物をしっかり摂取していれば、少なくとも最高のスタートを切ることができるとわかっていました。

参考文献

プロのアスリートおよび持久力コーチ:ドゥガル・アラン

ドゥガル・アラン

プロのアスリートおよび持久力コーチ

※本記事は英語の記事を翻訳したものです。原文を読む

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